干し方ひとつで仕上がりが違う!今さら聞けない「洗濯物の正しい干し方」
自己流でなんとなく…だったり、家族の干し方を漠然とまねしていたり。案外しっかりとは知らない人も多いのが「洗濯物の正しい干し方」。いつも通りに干して乾き方がまだらになってしまったり、シワシワになって固まってしまったり…という経験がある人も多いのでは。
「干す前のひと手間や干し方ひとつで、乾いた後の仕上がりがまるで違うんですよ」と話すのは、家事のプロフェッショナル・大津たまみさん。すぐに乾いてシワもできにくい、正しい洗濯物の干し方を教えてくれました!
カラッと晴れた日に外に干せるのなら問題はありませんが、雨の日が続いたり、防犯対策などの理由から部屋干しせざるを得ない場合も。部屋干しの一番の悩みは乾きにくさ。その悩みを解決するのに大事な三つの要素を、大津さんが教えてくれました。
1. 温度を高くする
2. 湿度を下げる
3. 風通しをよくする
「洗濯物を早く乾かすために大事な三原則を守って、なるべく早く乾く環境をつくりましょう」(大津さん)
洗濯物は、空気に触れれば触れるほど早く乾きます。そのためには、洗濯物と洗濯物の間に隙間を空けましょう。両端に丈の長いもの、真ん中に短いものを干してアーチ型にすることで風通しが格段によくなります。サーキュレーターや扇風機などで風を送るのもおすすめです。
「アーチ型に干すこつは、真ん中に丈の短いもの、外側に長いものを干すこと。ピンチハンガーに干す時も、アーチ型になるようにすると乾きが早くなります」(大津さん)
洗濯物はぬれた状態が長引くほど雑菌が繁殖しやすくなり、嫌なにおいの原因に。部屋干しをする時は、外に干す場合よりも脱水を長めにすると乾くまでの時間を短くすることができてにおいの防止に。干している範囲に吸水率が高い新聞紙を敷く裏技も。
「洗濯物を干した真下に、広げた新聞紙を敷いておくと空気中に拡散された水分が吸収されて早く乾きます。その際、一度丸めてから開いて凸凹を作っておくと表面積が増えるのでより湿気を吸ってくれますよ」(大津さん)
洗濯物は干す前にパンパンと音がするくらい振ると、衣類の水分が飛んで乾きやすくなります。この作業をすることで、脱水した時に付いたシワも伸ばすことができます。また、前身ごろと後ろ身ごろがくっついていたらはがして、風通しをよくしてから干すことも大事。洗濯物同士が重ならないように注意して干しましょう。
「ジーンズはピンチハンガーに裏返して干すと、乾きにくいポケット部分に風が当たって乾きやすくなります。また、普通に干すと重なってしまってなかなか乾かないパーカーの部分は、針金ハンガーを加工して曲げたもので開いて空気を入りやすくすることで早く乾かすことができますよ」(大津さん)
ワイシャツやハンカチなど、アイロンでピシッと仕上げたいものは、洗濯機から出してすぐのぬれているうちにアイロンをかけるのがおすすめ。
「衣類の水分が大量のスチームとなってビシッと仕上がるので霧吹きいらず。かつアイロンの段階である程度乾くので、その後に干す時間も大幅に短縮できます」(大津さん)
夏場の暑い時などアイロンを使いたくない!という日には、Tシャツなどは一回畳んで上から手のひらで押す“手アイロン”で生地を伸ばしてから、開いてまた干しましょう。
「手アイロンのひと手間だけでも、シワのないキレイな仕上がりになりますよ。また、タオル類は5回くらいバサバサと振るのが裏技。振動で絡み合っていた繊維が立ち上がり、表面積も広がるので、乾くとふわふわな仕上がりになりますよ」(大津さん)
耐熱性のあるビニール袋に洗濯物を入れて、袋の口からドライヤーで温風を当てます。袋の中が乾燥機のような状態になるので、スピード乾燥ができます。
「明日の朝までに体操服を乾かさなきゃ!といった時に使える便利な裏技。旅行先で下着類などを手洗いした時にも覚えておくと便利です」(大津さん)
理想的な干し場所は、日当たりのいい窓の近く。風を通すため、壁やカーテンにくっつかないところに干すことが大事です。さらに下からサーキュレーターや扇風機を当てて風を回すと早く乾きます。除湿機や浴室乾燥機も上手に使って、効率的に乾かしましょう
「窓の近くというとカーテンレールにぶら下げる人も多いかもしれませんが、そもそも風通しが悪い上、カーテンには見た目よりほこりが付いていて洗濯物のカビの原因になる場合もあるのでNGです。風がじかに当たるエアコンの送風口の下も早く乾きますよ」(大津さん)
部屋干しのいやなにおいやシワ対策など上手な干し方を知って、いつでも気持ちいい洗濯物にしましょう。
取材・文=本嶋るりこ イラスト=ヨシカワミノリ
大津たまみ
1970年生まれ、愛知県出身。一般社団法人日本清掃収納協会会長。株式会社アクションパワー取締役会長。一般社団法人生前整理普及協会代表理事。清掃収納マイスター1級認定講師のほか、ジュニア片付け収納マイスター認定講師、風水師の資格も。「お掃除お片づけ」のプロとして30年以上のキャリアを持つ清掃業界のカリスマ的存在。年間200本以上の講演のほか、テレビ・雑誌・ラジオなどで片づけや掃除法を伝授する