
節約芸人・ユウキロックさん直伝!楽しく続ける「節電・省エネ術」
電気代の高騰が続くなか、いまこそ節電・省エネに取り組みたい――。とはいえ、面倒だったり、効果が見えづらかったりして、なかなか続けにくいのが現実ですよね。そこで今回は、節約芸人としても注目を集め、自らの工夫で電力使用量を20%削減したユウキロックさんに、日々実践している節電・省エネ術を教えてもらいました。無理なく節電を続けられるアイデアが満載です!
人気番組「アメトーーク!」の「家電芸人」の企画に出演するなど、家電に詳しいことで知られるユウキロックさん。IT情報サイト「ASCII.jp」では連載「ユウキロックの節約バンザイ!」を持ち、節約に関する情報を発信しています。
そんなユウキロックさんは、なんと、昨年の同月と比べて電力使用量を20%も削減することに成功中!まさに家電を使いこなす“節電・省エネの達人”なのです。
「電気代ってどんどん高くなっていますよね。だからこそ、いまは節電が本当に必要になってきているので、今日はその方法やコツをお伝えします。節電は、自分で決めたことをコツコツやっていけば、“ジャブ”のように効いてくるんです!」(ユウキロックさん)
それでは、ユウキロックさんは具体的にどんな工夫で電気代を抑えているのでしょうか?家庭の電力消費量の5割以上を占めるといわれるエアコン、冷蔵庫、照明について、ユウキロックさん流の節電術を教えてもらいましょう。

「エアコンの節電といえば、よく“28度設定”って言われますよね。でも正直、ちょっと暑すぎる。ひつじを数えても暑くて眠れない夜は、ペンギンを数えてみる…なんて冗談はさておき、28度設定ってなかなか実践が厳しいかなと思います。そこで、僕がこれまで試してきたなかでいちばんおすすめしたいのが、フィルターの掃除です」(ユウキロックさん)
エアコンのフィルターが目詰まりしたままだと、電気代にして約5~10%の無駄遣いになるという報告もあります(JCCCA「家庭用エネルギー消費の動向」より)。つまり、フィルター掃除は、無料でできる節電対策のなかで最も効果が高い方法の一つなのです。
「フィルターの掃除って、面倒に感じる人が多いと思うんですよ。それって、汚れをためにためて掃除するから『うわ、気持ち悪い…』ってなる。でも月1くらいでやればぜんぜんラクなんです。僕は風呂場に新聞紙を敷いて、使い古しの歯ブラシでバーッと汚れを取るだけ。それで十分です」(ユウキロックさん)
さらに、ユウキロックさんが実践しているもう一つの節電術が、室外機への直射日光を防ぐこと。
「室外機に直接日光が当たると、それだけで余計に電力を使うので、日除け用のシートを取り付けるといいですね。あれは本当に効果が大きいと思います」(ユウキロックさん)
エアコンの室外機は直射日光を浴びると熱を持ち、熱交換効率が悪くなり、余計な電力を消費します。日除けシートを取り付けて温度上昇を防ぐことで、効率が上がり省エネに。電力使用量を約10%削減できるともいわれています(SDS「知って得する省エネ情報」より)。
冷蔵庫の節電・省エネのポイントは、庫内の管理にあります。
「冷蔵庫って、本当にシンプルなんですけど、“満杯”にするのがいちばんダメなんじゃないかと思ってるんです。棚代わりにして、なんでも詰め込んでいたりしませんか?たとえば、缶ビールを何本も並べると見栄えはいいけど、そんなに一気に飲まないですよね。じつはそれだけで電気代がかさみます。さらに庫内がごちゃごちゃしていると、探すのに時間がかかって、ドアの開閉時間が長くなる。それがまたムダな電力につながるんですよ」(ユウキロックさん)
庫内が整理整頓されていれば、冷気が循環しやすくなり、効率よく冷やすことができます。逆に、詰め込みすぎるとセンサーが正しく働かず、必要以上に冷却してしまうことも。電力消費が増える原因になるので注意が必要です。
「あと大事なのは、食材を温かいまま冷蔵庫に入れないことですね。冷やすのに余計に電力を使うことになりますから。これは昔、親から教わって、いまでもずっと守っています」(ユウキロックさん)
さらにユウキロックさんが「やってよかったと」感じているのが、冷凍室の積極的な活用です。
「最近、冷凍室が冷蔵室と同じくらいの大きさの冷蔵庫に買い替えました。安い食材をまとめ買いして、作り置きや下ごしらえをして冷凍保存しておけば、腐らせることなく使いきれるし、調理時間も短くなる。結果的に、光熱費の節約にもつながるんですよね」(ユウキロックさん)

照明の節電で大切なのは、とにかく点灯時間を短くすること。
「LED電球に交換するのがいいってよく言われますし、実際にうちでも交換しました。でもそれ以上に大事なのは、こまめに電気を消すことだと思うんです。それだけで、けっこう違ってくる。たとえば、いま僕は書斎にいますが、短い仕事の時間ぐらいなら隣のリビングの電気がついたままでも別にいいかってなりがちじゃないですか。そうではなく、ちゃんと“消す”という感覚を肌で覚えることが大切かなと思うんですよね」(ユウキロックさん)
また、あまり使わない場所やデッドスペースにはそもそも電球を取り付けないというのも、節電に効果的。加えて、人感センサー付きの照明を活用すれば、点灯時間を必要なときにだけ絞ることができ、無駄な電力消費を防げます。たとえば、廊下や階段などのフットライトにおすすめです。
「これ、ちょっとおすすめなんですが、夜中にトイレに行きたくなって起きたとき、廊下の照明がやたらまぶしいことってありますよね。でも、人感センサー付きのフットライトを使えば、わざわざ照明をオンオフしなくても、やわらかい光で足元だけを照らしてくれるので、まぶしさを防げていいです」(ユウキロックさん)
電気代が高騰するいま、節電・省エネは節約効果が大きく、欠かせない取り組みです。しかしその一方で、すぐに目に見える効果が出にくく、ポイントがその場で貯まる“ポイ活“などと比べると、モチベーションが続きにくい面もあります。そのため、「やや上級者向け」ではありますが、コツさえつかめば無理なく続けられるとユウキロックさんはいいます。
「節電を続けるコツは、“楽しさ”に変えることがいちばんだと思うんです。僕の場合、お金に困って節約を始めたわけではなくて、好きな家電をいかに安く手に入れるか、たとえば一つの商品をどうやったら最安で買えるか、そんなことを考えて実践していたんです。それがまるで謎解きみたいで、攻略していく感じが楽しかった。その延長で、ほかの節約にも自然につながっていったんですよね」(ユウキロックさん)
ユウキロックさんは実際、ゲーム感覚で節電・省エネを楽しんでいるそうです。
「たとえば、お盆で実家に帰るとき、“その間にどれだけ電気代を下げられるか”っていう節約チャレンジをしたことがあります。出かける前に、冷蔵庫など必要最低限を除いて、家中のコンセントを抜いてみたんです。すると、本当に電気代がグッと下がって。そうやって数字にはっきり出ると、節約ってやっぱり面白いなとなる。それが節約の醍醐味かなと思っています」(ユウキロックさん)
また、節約を続けるためのもう一つのポイントは習慣化すること。これができるようになれば、生活全体にもいい変化が生まれるのだとか。
「僕は、パソコンは使わないときは電源を切り、クーラーは3時間以上外出するときは消すと決めています。そういうふうに、自分でちょっとしたルールを決めて実行していくのが大切。その小さな1歩、ほんの“半歩”から始めればいいんです。無駄遣いをする人って、時間にもルーズな傾向があると思っていて。だからこそ、無駄遣いの習慣を見直せば、節電だけじゃなく時間の使い方も整って、暮らしそのものが改善されていくと思っています」(ユウキロックさん)
取材・文=杉原由花 イラスト=ヨシカワミノリ
教えてくれたのは
ユウキロック

1972年生まれ。漫才コンビ・ハリガネロックとして1995年にデビュー。関西の新人賞を総なめにし、東京へ進出。第4回『爆笑オンエアバトルチャンピオン大会』優勝、第1回『M-1グランプリ』準優勝を果たす。2003年には渋谷公会堂にて約2000人を動員した漫才ライブを成功させた。2010年には著書『ユウキロックの節約革命』を出版。家電や節約術に精通し、株式投資にも造詣が深い。現在は芸人としての活動に加え、お笑い講師、構成作家、家電アドバイザーとしても幅広く活躍している。