防災

【お役立ち記事】「もしも今、大地震が起こったら…」とっさの時に慌てずに済む災害時行動マニュアル

目次

いつ、どこで発生するか分からない災害の中でも、最も予測ができないと言われている地震。朝の通勤通学ラッシュ時や深夜の熟睡時、子どもやお年寄りといった守らなければならない存在と行動している時など、とっさの判断が必要なタイミングで大地震に遭った場合に、その時の場所や状況に応じた身の安全を確保するための方法を“備え・防災アドバイザー”で、合同会社ソナエルワークス代表の高荷智也さんに教えてもらった。

事前にどれだけ対策をしていたかが生死を分ける

「台風や大雨など、事前に予報が発表され『いつ・どこに・どのくらいの』影響が生じるかが分かる風水害と異なり、予知ができないため必ず『不意打ち』で巻きこまれる可能性が高いのが大地震です。命にかかわるほどの強さの揺れ(おおむね震度6弱以上の大地震)が発生した場合、実は『揺れてからのとっさの対応』としてできることはほとんどありません。

地震対策は『生じてからでは間に合わない』ため、『事前にどれだけ対策をしていたかが生死を分ける』ケースがほとんどです。特に自宅や職場など滞在時間の長い場所で、命を守れるかどうかは地震が生じる前にほとんど決まっていることを念頭に入れておいてください」(高荷さん)

シチュエーションごとに異なる行動指針

ここでは、屋内/屋外のさまざまなシチュエーション別に、最大限安全を確保する方法や注意点などを紹介する。

<屋内編/自宅にいる時>

・「新耐震基準」以上の物件に住む

※「新耐震基準」=1981年6月1日以降に「建築確認申請」を受けている建物

・家具や家電の固定、荷物の落下防止、ガラスの飛散防止対策などをしておく

・リビングや自室にいる場合は、身をかがめて転倒・落下物から身を守る

・料理中であれば火傷を防ぐためにコンロや調理器具から離れる。強い揺れに見舞われるとIHは本体の働きで、ガスコンロはメーター(元栓)の働きにより自動的に火が消えるため、慌てて消しに行かない。万一のため消火器などを準備しておく

・入浴中であれば負傷を防ぐためにも、とにかくその場から動かない。入浴中は最も無防備な状態であるため、慌てて外に飛び出さないこと。脱衣所などに「停電時自動点灯ライト」などを設置しておくと良い

<屋内編/勤務先や商業施設等にいる時>

・エレベーターを利用している場合、エレベーターは大きな揺れを感知すると自動停止するように設計されているが、念のため全ての階のボタンを押して、安全に停止される可能性を高める

・エスカレーターの場合は、前に立っている人が転倒によって上から落ちてくる可能性があるため、しっかり手すりにつかまって揺れが収まるのを待つ。最上段・最下段に到達している場合は、降り口から速やかに離れる

・特に大都市では、大地震発生直後は最大3日程度安全な場所にとどまることが推奨されているため、3日間とどまるための必需品を会社に用意しておく

<屋外編/公共交通機関を利用している時>

・電車やバスに乗車している場合は、急停車で体が吹き飛ばされないよう、日頃から座席に座ったり手すりを持つ習慣を身に付ける

・緊急停車後は、乗務員やアナウンスの指示に従って行動することが基本

・船舶、航空機の場合は、電車やバス以上に個人でできることは限られる。慌てず、責任者の指示に従って行動を

<屋外編/街中を歩いている時>

・建物の倒壊や頭上からの落下物、ガラスの飛散などの恐れがあるため、このような危険性が低い公園などに移動して身を低くする

・屋外で揺れを感じた瞬間に周囲を見渡し、安全な行動を取ることは難しいため、日頃から「今、この瞬間に揺れたらどうするか」を想像し、イメージトレーニングを繰り返す。そうすることで、少しでも大地震発生時に安全行動を取れる可能性を高められる

・子どもや車椅子の方などと外出をする機会が多い場合は、「出先で地震が起きた時はどう行動するか」を話し合っておく

いざという時に役に立つ!自宅や勤務先に置いておきたいアイテム

「身を守る/情報収集/応急手当をするための道具や、寒い地域であれば防寒具や着替え等の備えは命を守るためにとても重要です。非常用持ち出し袋に入れる道具として準備をしておきましょう。

最低限準備しておきたいのは、「雨具」「懐中電灯(LEDハンディライト)」「軍手(グローブ)」「乾電池スマホ充電器」「ホイッスル」などです。いずれも軽量で小さいサイズのものがお手軽な価格で販売されているので、一式をポーチなどに詰めておき、財布や携帯電話と同じように必需品として常に持ち歩くといざという時に便利です。ヘルメットなど頭部を守る道具は、装備していても『揺れた瞬間にかぶる』ことは難しいですが、屋外避難の可能性がある場合に役立ちます」(高荷さん)

地震対策で最も大切なことは「家選び」

東日本大震災などの経験を経て、日々アップデートされていく防災への心構え。最後に、高荷さんからこんなメッセージをいただいた。

「震度6強の揺れでも倒壊しない新耐震の住宅に住み、室内の安全対策を徹底することが最も重要で、これができていれば地震対策の半分はもう終わりです。『揺れてからできることはない』『事前対策が命を分ける』ということを意識していただきたいです。中でも高層階にお住まいの方は、低層階よりも揺れが激しくなる傾向がありますので、日頃から家具などの転倒防止に努めておくと良いでしょう。地震対策の基本は『家選び』です」

取材・文=中村実香

高荷智也(たかに ともや)

ソナエルワークス代表。備え・防災アドバイザー。「自分と家族が死なないための防災」をテーマに活動するフリーの専門家。大地震や感染症パンデミックなどの自然災害から、銃火器を使わないゾンビ対策まで、堅い防災を分かりやすく伝える活動に従事。防災系YouTuberとしても多くの動画を配信中。

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