ライフスタイル

日本各地でこんなにも違う!賢者オススメのご当地お雑煮

目次

・[東日本エリア]宮城県仙台市「焼きハゼ雑煮」
・[西日本エリア]熊本県玉名市・荒尾市界隈「すまし仕立てのあん餅雑煮」
・[お雑煮賢者オススメの一品]茨城県常陸太田市・旧里見村界隈「豆腐餅」

 

新年を迎えた朝、最初に口にする食べ物として愛されているお雑煮。「お餅が入った椀物」という定義はあれど、しょうゆベースのすまし汁や白みそ仕立てなど、ご当地ならではの味が各家庭に伝わっているのも魅力の1つだ。そんなお雑煮の多様性を愛し、研究し続けているのが、「お雑煮研究所」の粕谷浩子さん。今回は、お雑煮賢者の粕谷さんに「東日本エリア」「西日本エリア」から1つずつ、そして個人的にオススメの一品の計3種類の個性的なお雑煮を紹介してもらった。

「所変われば、お雑煮も変わる。日本全国みな『お雑煮』という言葉を使いながら、頭の中で思い描いているお雑煮は全然異なる…。ご当地お雑煮は、情報社会の中にあって、今もご当地の食文化が息づいている、大変ユニークなハレの日の家庭料理です」(粕谷さん)

[東日本エリア]宮城県仙台市「焼きハゼ雑煮」

にんじん、ごぼう、だいこん、凍み豆腐、からとり(ずいき)など、全ての食材を拍子切りにした「引き菜」と呼ばれる具材が特徴。大晦日のうちに下茹でし、冷凍した引き菜を小分けにして、焼いたお餅と焼きハゼの出汁といただく。最後に彩りとして添える、いくらの赤とセリの緑が美しい一品。

「焼きハゼは収穫量が減り、最近は入手困難にもなっています。そんな高級食材となってしまった焼きハゼにしか出せない、お出汁の風味が絶品のお雑煮は、具だくさんで心から満たされた気分になります」(粕谷さん)

[西日本エリア]熊本県玉名市・荒尾市界隈「すまし仕立てのあん餅雑煮」

甘いあん餅が入ったお雑煮は、香川県の白みそ仕立てのものが有名だが、実は、九州地域でも食べられている。九州独特の甘いしょうゆ味がベースで、お煮しめのように、里芋、にんじん、ごぼうがたっぷり。“先を見通す”という意味が込められた食材「ちくわ」も欠かせないが、なんといっても縁起ものである「するめ」と「昆布」で出汁を取るのが特徴。お椀の中に、するめと昆布も入った、甘いお出汁とあん餅がマッチする一品。

「するめと昆布を使う理由は、『けんかするめーよろこんぶ』であるから、とのこと。私の出身地・香川でも同じようにあん餅を使ったお雑煮を食べますが、全く別のお味となっています。こちらもとてもおいしかったのでオススメです」(粕谷さん)

[お雑煮賢者オススメの一品]茨城県常陸太田市・旧里見村界隈「豆腐餅」

すり鉢で、木綿豆腐・みそ・砂糖をよく擦りつぶして、昆布出汁を加えて火にかける。モロモロとした真っ白な豆腐汁の中に、焼き目を付けないように焼いた切り餅を入れて食べる。地元では「豆腐餅」とも呼ばれている。

「間違いなく女子ウケすると思います。いわば豆腐スイーツのようなお雑煮で、カラダが喜ぶ感じのおいしさ。実は、粕谷は日常的によく食べています」(粕谷さん)

母から子へ、子から孫へと受け継がれていく伝統食でもある、お雑煮。2022年は、お正月というハレの日以外にも、気軽に日本各地のご当地お雑煮を味わってみてほしい。

文=中村実香

お雑煮研究所・粕谷浩子

お雑煮研究家、料理研究家、株式会社お雑煮やさん代表。お雑煮の魅力に取りつかれ、日本各地の雑煮事情を知るべく、パワフルな語り口と笑顔を武器に情報収集を続けている。雑煮を「ZOUNI」という言葉ごと、世界に広げていくことを目標に活動中。
お雑煮研究所:http://www.zouni.jp/

共有

最新記事

人気の記事

カテゴリ

TOP