コラム

【週末エンタメ】レコードデビュー60周年!最高傑作『ホワイト・アルバム』を生んだビートルズの知られざるインド滞在期

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10月5日(水)に「ラブ・ミー・ドゥ」でのレコードデビューから60周年を迎えるザ・ビートルズ。このタイミングを記念し、ドキュメンタリー映画『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』が2022年9月23日(金)より公開される。

本作では、ビートルズのバンドキャリアにとってひとつの重要なキーワードである“インド”に滞在した際の貴重な素顔が収められている。映画で描かれるインド滞在は、ビートルズにとってどんな意味を持っていたのだろうか?

ひとりの青年がインドで出会ったビートルズとの奇跡の8日間

皮肉めいたユーモラスなジョークを口にしていたというジョン (C) B6B-II FILMS INC. 2020. All rights reserved

『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』は、かつてインドでビートルズと出会った経験を持つカナダの映画・テレビのプロデューサー、ポール・サルツマンの視点から語られるドキュメンタリー。

1968年、23歳のサルツマンは失恋の傷を癒すべく北インドのガンジス川ほとりにあるマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーのアシュラム(僧院)の門を叩く。そこで思いがけず世界的ロックバンド、ビートルズのジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターと出会い、瞑想を学びながら共に過ごした8日間を写真に残した。

それから50年の時を経て、当時の記憶をたどるべくインドのリシケシを訪れる様子を、彼自身が当時撮影した貴重な写真や映像、関連人物へのインタビューやエピソードを交えながら映し出していく。

自身も超越瞑想を実践するデヴィッド・リンチもインタビューで効果を語る (C) B6B-II FILMS INC. 2020. All rights reserved

“超越瞑想”を実践し、その普及を目的とする財団も立ち上げているデヴィッド・リンチが製作総指揮を務め、本編にも登場して創造について語るなど、映画ファンとしても見逃せない1作だ。

過密日程、マネージャーの死…心身ともに疲れ切ったビートルズが求めた心の平安

1967年との出会い以降、今なお超越瞑想を続けているというポール (C) B6B-II FILMS INC. 2020. All rights reserved

1968年頃のビートルズといえば、1966年でコンサートツアーを行わなくなったことから分かるように、世界中を飛び回るライブツアーなどハードスケジュールに辟易し、スタジオアーティストへと移行した後のタイミング。

『リボルバー』(1966年)や、『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』(1967年)に代表される、サイケデリックなサウンドを取り入れるなど、それまで以上にクリエイティビティに力を入れており、ユニークで完成度が高い楽曲を連発していた時期でもある。

生涯を通じて、東洋思想、インド哲学に魅せられていたジョージ (C) B6B-II FILMS INC. 2020. All rights reserved

そんな幅の広いサウンドのひとつとしてジョージ・ハリスンが傾倒していたのがインドの音楽。映画『Help!』(1965年)の撮影時にシタールと呼ばれる楽器と出会ってから、ジョージはインド音楽、ひいては東洋思想に魅了されていた。彼を筆頭にメンバーは1967年、超越瞑想の創始者マハリシのイギリス講演と瞑想セミナーに参加すると、翌年、マハリシからの招待を受ける。

1967年には、“5人目のビートルズ”と言われていたマネージャーのブライアン・エプスタインが亡くなるという悲劇も経験。後にポールが「クレイジーな60年代の終わり、自分を安定させる何かを求めていた時に瞑想に出会った。狂乱の中にあっても、瞑想することで、心の落ち着きを取り戻すことができる」と語ったように、すでに手にしていた富や名声から得られない、内なる平和がもたらす心の安らぎを求めて、彼らはインドのアシュラムを訪れることになったのだ。

「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」など、インドで生まれた多くの名曲と知られざる秘話

ジョージの当時の妻パティ・ボイドもインタビューに登場する (C) B6B-II FILMS INC. 2020. All rights reserved

パティ・ボイドやシンシア・レノンといった当時のパートナーをはじめ、女優のミア・ファロー、ミュージシャンのマイク・ラヴ(ビーチ・ボーイズ)やドノヴァンらも同行したアシュラムでは、仕事やファンに追われる日常から抜け出し、気ままな日々を過ごしたビートルズ(リンゴは10日ほど、ポール5週間ほどでアシュラムを後にしている)。世間から隔絶された空間で、2カ月近くに渡って自分自身と向き合った時間の中で、彼らは多くの曲を生み出しており、その数は30曲(一説によれば48曲)にのぼるとも言われている。その多くは、それぞれの個性が詰まった傑作のひとつ、通称“ホワイト・アルバム”こと『ザ・ビートルズ』に収録されている。

子どもたちに会いたいという理由でさっさと帰ってしまったというリンゴ (C) B6B-II FILMS INC. 2020. All rights reserved

「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」をセッションする貴重な瞬間 (C) B6B-II FILMS INC. 2020. All rights reserved

映画では、ジョンとポールが未完の歌詞を見ながらセッションしていたという「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」をはじめ、帯同していたミアの妹プルーデンスに捧げられた「ディア・プルーデンス」や「ジ・インナー・ライト」など名曲の誕生秘話も明らかに。

さらに「コンティニューイング・ストーリー・オブ・バンガロー・ビル」に至っては、モデルとなった人物の口から歌詞の真相が語られるなど、当事者だから知りえるエピソードが臨場感たっぷりに披露される。

4人がそろった最後の旅行となったインド滞在後、関係に溝ができてしまい、知っての通り1970年に事実上の解散へと向かっていくビートルズだが、そんな予兆を感じさせない彼らの穏やかな表情を、本作からは見て取れるはずだ。

文=ケヴィン太郎

インフォメーション

『ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド』

2022年9月23日(金)より全国ロードショー

http://mimosafilms.com/beatles/

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