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会合を盛り上げる、会議を有意義な時間にする――参加者の心に響き空気を変える魔法のフレーズ集

新年会の幹事を会社で任されたとしましょう。何と言って新年会を始め、時間を取り持ち、どんな形で締めくくるでしょうか?

言葉一つで場の空気は良くも悪くもなる。ファシリテーターの役割は「良い空気」をつくることに尽きる。そのような前置きで始まる本書『一流ファシリテーターの 空気を変えるすごいひと言』(中島崇学/ダイヤモンド社)では、「口にするだけで空気が変わる」という魔法のようなフレーズや考え方が紹介されています。

NEC社に在籍中に「はたらく場研究所」というNPOを立ち上げてファシリテーション塾を主宰。同社で人事や広報のキャリアを積みながら、会社公認の副業としてファシリテーションの評判をあげ、社内研修に特化した系列会社でさらに技術に磨きをかけた後に独立。現在、研修、教育事業やコンサルティング事業を手掛ける共創アカデミー社の代表を務める著者の中島崇学氏は、ファシリテーターは「スムーズに物事を運ばせる、進行役ではない」と断言します。

『一流ファシリテーターの 空気を変えるすごいひと言』(中島崇学/ダイヤモンド社)

例えば、講演の冒頭に自身の緊張を伝えるという場合。その主体を自分に限定する(フレーミングする)ことで、伝わり方が全く異なるといいます。本書では○×形式で、推奨されるフレーズと避けるべきフレーズの比較がなされています

× アウェーな雰囲気で、緊張しています
 (「アウェー」に相手を含んでいる)

○ 引きしまった空気で、私もピリッとしています
 (自分の感受していることに内容を限定している)
※( )内は筆者の補足


冒頭の新年会の事例でいえば「私が楽しまなければせっかくの新年会が台無しなので、気を引き締めてしっかりやりきりたいと思います」といったところでしょうか。単なる進行役(進めればいい)なのではなく、場の空気を暖めたり、聞き手に敬意を払ったり自発性を促したり、全員に分け隔てなく話が届くようにしたりすることを心がける。それがファシリテーターの役割なのだと中島氏は主張しています。

会議でもゴールを明らかにして「この会議、何の会議なんだろう」という疑問を晴らさせて、参加者を安心させる。議論の際も、いつも気遣って「~かもしれない」と曖昧にするのではなく、時には断定的に言い切ることも重要だといいます。しかし、何でもはっきりさせればいいかというと、そうではないようです。時には「答えに詰まる難しい質問」が、場の連帯を醸成することもあるといいます。

× 難しいですね。どうお答えしましょうかね。

○ その問いをもってこの時間を過ごしてみませんか?


重要な問いほど答えが出ないことは「ギフト」となり、議論の参加者たちの心に贈ることができるというのが著者の考えです。

良い問いをもって生きることは、それだけ気づきの多い人生になります。
すぐに答えを出さなくてもよい安心感にもつながります。
私たちは安易に答えを出さない姿勢を身につけるべきなのかもしれません。


なお、本書のサブタイトルは「打ち合わせ、会議、面談、勉強会、雑談でも使える43のフレーズ」で、さまざまな状況ごとの細かい言い回しのアドバイスも含まれているので、シーンごとに「魔法のフレーズ」を活用してみてください。

文=神保慶政
記事提供=ダ・ヴィンチWeb

この記事で紹介した書籍ほか

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