
自作のディアウォールがインパクト大!『暮らしフォトコンテスト』最優秀賞作品のこだわりDIY
第3回『暮らしフォトコンテスト』の受賞作品が公開されている。今回は、こだわりのレイアウト部門の最優秀賞に輝いた、れみなんさんのご自宅を訪問。物づくりが大得意というご主人が大活躍したリビングは、まさに手作りの空間。ご夫婦のセンスが随所に見られる素敵なお部屋をご案内いただき、お部屋づくりのこだわりを伺いました。
「リビングを少しでも広く、ゆとりを感じられる空間にしたかった」という、れみなんさん。ポイントは「床をなるべく見せることと、色の統一」でした。賃貸住宅ゆえの制約を踏まえつつも、「自分たちで極力工夫して、楽しい空間を作りたかった」とのこと。物作りが得意なご主人に希望をオーダーすれば、「勝手に考えてくれる」というから頼もしい。採寸してからホームセンターに出かけて、木材を選んだら店内の作業スペースを利用してその場でカットして持ち帰るそうです。
そんな自作の空間の中でも、ひときわ目立つのがリビングに設置したグレーのディアウォール。「柱を隠したかったことと、アンテナやコードの配線類をどうしても見せたくなかったんですね。そこで考えたのが、壁を作って裏に隠すことでした」ということで、柱に板を取り付け、壁紙を貼って立派なディアウォールが完成。最初に選んだ壁紙が少し薄い目のグレーで柱の木地が少し透けてしまったため、後から濃厚な色に張り替えたそうです。
さらに、テレビにはネット通販で購入したモニターアームを取り付け、角度を変えられるのもポイント。テレビ下のラックもご主人の手作りです。「既製品だと大き過ぎたりして、サイズが合わないんです。ハードディスクやレコーダーの収納にラックは必要だし、何もないとのっぺりしちゃう」というご主人。
リビングのグリーンの配置もこだわりポイントで、「高低差を考えて配置しています。三角形を作るように配置するのがコツですね」という、れみなんさんのセンスが光るところ。一番大きなグリーンの下に小さなものを置くとか、微妙なバランスをしっかり計算しているそうです。一度置いてから変えることもしばしば。
れみなんさんが大好きなフェルメールの絵画がプリントされた布で作成した、複製原画風のファブリックパネルをはじめ、小さな熊の置物などを配置。ライトも季節で変えるなど、さり気ないこだわりが随所に施されています。
インテリアへの探求心も旺盛で、「幼い頃から、自分の部屋の模様替えばかりしていました。テレビの『渡辺篤史の建てもの探訪』が大好きでいつも見ていましたね」というれみなんさん。小学生時代に籐カゴを自作していたというから筋金入りです。
ディアウォールに取り付けたアームによって、テレビの角度を変えられます。ソファで見る時は正面向きで、ダイニングテーブルで見る時は斜めに。「食事しながら見る時は、テーブルのほうに向けています」と、過ごすシーンによって変えられるのが最大のメリット。ビジネスホテルなどではしばしば見かけますが、一般家庭ではなかなか珍しい仕掛けです。「これもリビングの空間を有効に使うための工夫です」とのこと。
ライトにもこだわり、ダイニング側の照明は季節によって変更するとか。「夏はシンプルな形のライトでしたが、秋は星形にしています。葉っぱのようにも見えるでしょう」。夜はリビングの間接照明の光だけで過ごすそうです。「グリーンに光がほんのり当たって、何とも言えない安らぎに包まれて、お茶を飲んだりするのが好きです」という、れみなんさん。
ダイニングテーブルのペンダントライトは、傘の内側に1枚ずつ立体シールを貼ってオシャレに装飾。こちらもご主人の手作りです。「主人の“ちょっと女子的”な一面が出ましたね」と、れみなんさんは笑うけど、見えない部分にもしっかり手間をかけて工夫する姿勢に感服しました!
キッチンは近年主流のアイランド型ではなく、「リビングと仕切られた空間にしたかった」という。さらに「どうしてもインディアンラックをキッチンに付けたい!」という、熱望するれみなんさんに対して、ご主人が自作したキッチンラックがご自慢。2人が好きなお酒やコーヒーを並べています。サイズが合うものがなくて、こちらも採寸して自分でカットした木材を使用して仕上げたそうです。
「子どもたちが独立したこともあり、夫婦水入らずの生活を楽しみたかった」という2人。セカンドライフの空間づくりを目指し、れみなんさんは「以前はカントリー調の空間が好きだったけど、ここはシックで落ち着けるようにしたかった」そう。寝室にはジャストサイズのドレッサー兼作業デスクも配置。今後は、「ゴチャゴチャしている洗面所をホテル調に仕上げたい」と、さらに進化しそうな気配です。
賃貸住宅でも自分らしい生活をするために、可能な限りの工夫を凝らして素敵な空間を作りあげた、れみなんさんご夫婦。壁を傷つけないように、柱に新しい壁を取り付けてテレビボードを作成するという斬新な発想にも感心しました。ホームセンターの作業室を活用するのも素晴らしいです。家というものは、やる気と工夫次第でどこまでも進化させることができるのだと改めて感じました。
取材・文=渡辺敏樹 写真=奥西淳二
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