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モヤモヤ気分をスッキリ!専門家が教える自律神経の整え方

目次

・自律神経が乱れた時のサインはこれだ!
・不規則な生活習慣の改善方法
・コロナ禍の中、メンタル面で注意したいこと

 

新型コロナウイルスの感染が拡大し、私たちの生活が一変して2年。これまでより、うつ病・うつ状態の人の割合が2倍以上に増加しています(経済協力開発機構の調査による)。そこで、「コロナ疲れ」を軽減する自律神経の整え方を、自律神経研究の第一人者である順天堂大学医学部の小林弘幸教授に解説してもらいました。

自律神経が乱れた時のサインはこれだ!

自律神経失調症の専門家である小林教授も、臨床医として医療の現場に立つ中で「コロナ禍の影響で、自律神経が乱れる人が増えている」と実感しているそう。

自律神経とは、私たちの生命活動を24時間休みなく支えているもので、「交感神経」と「副交感神経」で構成されています。交感神経の働きが優位になると、血管が収縮して血圧が上昇しアグレッシブな気分に。一方、副交感神経にはブレーキの役割があり、その働きが優位になると、血管が適度に緩んで血圧が低下し、体はリラックスした状態になります。二つの神経がそれぞれ高いレベルで活動しながらバランスが取れている時に、人間の体は最も良い状態となります。逆にこのバランスが崩れると、心身にはさまざまな不調が現われるようになります。

「自律神経が乱れると、眠れない、食欲がない、食べても便秘や下痢になるなどの症状が出てきます。怖いのは、そこからうつ病になってしまうこと。何事にもやる気が起きない、疲労感で起き上がれない、会社や学校に行きたくないと思うようになるなどの変化が出てきたら、要注意です」

ストレスも自律神経のバランスを崩す原因となり、例えば、感染拡大の影響で仕事を失ったり、自宅で仕事することになって孤独を感じたり、友人らと会えず寂しい思いをしたりといったことも、きっかけになりかねません。大人だけではなく、国立成育医療研究センターの調査によると「高校生の約3割に中等度以上のうつ症状が見られる」とのこと。中等度以上のうつとは、睡眠障害や食欲不振に陥り、通院が必要とされるレベルを指します。

「職場や学校が休みになると、気分転換ができず、他人とのコミュニケーションがなくなってしまう。医師・教師である私も、緊急事態宣言が続く中で、青空を見てもきれいだと感じられなくなってしまいました。これはまずいと思ってInstagramのアカウントを開設して、景色の写真などを撮ってそこにアップするようになりました。それだけでも気分が変わりますよ。他にも、オンラインで友達と会話するだけでも良いでしょう」

不規則な生活習慣の改善方法

自律神経の乱れを避けるには、やはり規則正しい生活をすること。まずは朝昼晩の食事をなるべく決まった時間に取ることが大事です。「特に朝食をちゃんと食べないと、体の全細胞にある『時計遺伝子』が動き始めず、体内時計が機能しません。なるべく毎朝、決まった時刻に時間をかけて食事するようにしてください」

もちろん睡眠を十分に取ることも大切。夜9時以降はカフェインの入った飲み物を避け、入浴して温まってから寝ると、睡眠の質が保ちやすいそうです。お酒は晩酌程度で止めておくのが良く、寝酒はしないこと。「アルコールは交感神経を刺激してしまいますから」と小林教授。また、夜遅くまでスマホで動画を見たり、ゲームをすることも交感神経を刺激することにつながります。

テレワークが普及した昨今では、休憩を挟まずダラダラと仕事をしてしまう、1日中座りっ放しで運動不足という人も多いはず。しかし、このような行為も自律神経が乱れる原因に。そのため、時間をきちんと区切って、仕事をする時は集中する、休む時はしっかり休むというように、オンとオフを上手に切り替えることが大切です。忙しくても食事はおろそかにせず、仕事の合間にはストレッチなどをして体をほぐすようにしましょう。

交感神経と副交感神経をしっかりと働かせ、それぞれの神経のバランスが取れていることが大事です。

コロナ禍の中、メンタル面で注意したいこと

メンタル面の変化は、同居家族など周囲の人にも分かってもらいにくく、元気そうに見えても、突然、会社に行けなくなるなど急激に気分が落ち込んでしまう人もいます。病院の心療内科やメンタルクリニックに行くのは敷居が高いようにも思えますが、自覚症状があったら放置せず、早めに医師に相談するのがベスト。

「『これぐらいは大丈夫』と思わず、不調を自覚したら心療内科やクリニックに行ってみてください。うつ病も早めに診断して治療を始めれば、症状が進まずに済むことが多いのです」

小林弘幸(こばやしひろゆき)

順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。1960年、埼玉県生まれ。順天堂大学医学部卒業後、1992年に同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センターなどに勤務。国内における自律神経研究の第一人者としてスポーツ選手や文化人へのコンディショニングやパフォーマンス向上指導を行う。著書に『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(アスコム)などがある。

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