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「ていねいなくらし」を夢見ているアナタ! 「雑なくらし」もなかなかいいですよ?

「ひとり暮らしを始めたら、部屋は毎日キレイにして、好きなものに囲まれた優雅な生活をするんだ」──そう考えていた時期が私にもありました。しかしひとり暮らし歴も数十年、思い描いていた「ていねいなくらし」はどこへやら。今では物が部屋中に溢れ、足の踏み場もない惨状だ。正直、「ていねいなくらし」は面倒くさいのである。そう考えるのは私だけではなく『洗濯物がウラ返しでも正直誰も死なない アバウトくらいがちょうどいい!#雑なくらし はじめました』(ツボウチさん/KADOKAWA)の作者も同様で、さらに本書に共感を覚える人もお仲間のはず。

本書の作者・ツボウチさんも当然、かつては「ていねいなくらし」を夢見ていた。しかし、ひとり暮らしから結婚生活へと暮らしは変化していっても、一向に「ていねいなくらし」は実現しなかったのである。そう、彼女は気づいてしまったのだ──「雑なくらし」くらいがちょうどいい、と。ではツボウチさんは、どんなアバウト生活を営んでいるのか。ゆる~く見てみよう。

調理家電は適宜利用で……料理編

ツボウチ家の料理事情は大変だ。子供のタボちゃんがまとわりついてくるので夫に世話を任せ、いざ料理開始。しかし完璧と思っていた段取りも、進めていくごとに次々と破綻していく。完成するころには、ツボウチさんはボロボロに……。でも大丈夫、肉に火を通していれば夫は「美味しい」と言ってくれるから。

ツボウチ家は調理家電もアバウトだ。「お菓子作りがしたい」と買ったオーブンレンジや「バナナジュースが飲みたい」と買ったブレンダー。オーブンレンジのオーブン機能は大して使われることなく、ブレンダーは今やオブジェと化している。だってやっぱり面倒くさいから。調理家電も泣いてるぞ。でもたまに使われると喜んでいる……のかもしれない。

できるときにできることを! 家事編

掃除するタイミングがアバウトなのもツボウチ家流。やらなきゃというタイミングでは気が乗らず、寝る前とか変な時間に急に動き出すのだ。まるでテスト勉強中に、急に掃除を始めてしまうときのよう。家族も家族で、出かける前に急にお掃除ロボットの分解を始める夫や、お出かけ前に急に片づけを始めるお子さん。……家族のペースはばっちり合っている!

タイトルの「洗濯物がウラ返し」のくだり、実はこれ、夫に対する実験である。ある日、ツボウチさんは夫のパンツを畳まずにタンスへ。すると夫は何も言わずに着用したのである。実験はエスカレートし、ついにはウラ返しになった服をそのままタンスにイン。すると夫は黙ってそれを直し、着用。「これからもそのまま入れよう」と思ったツボウチさん。気持ちは分からんでもない……。

本書はツボウチ家の「雑なくらし」をひたすら晒し続ける……だけでは決してない。「ていねいなくらし」を実践する「シンプルライフ研究家」のマキさんに暮らしのコツを聞いたりもしているのだ。……まあ、だからといって生活が急に変わるワケではないのだが。でも、日々を生活するってこういうことなのかもしれない。「ていねいなくらし」を目指すのはいいけれど、頑張りすぎると疲れるだけ。「雑なくらし」でもやっていけるから、大丈夫!

文=木谷誠

記事提供=ダ・ヴィンチWeb

この記事で紹介した書籍ほか

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