防災

キッチンだけが火元じゃない!改めて知っておきたい住宅火災の豆知識

目次

多数の被害をもたらす住宅火災は、空気が乾燥する冬から風が吹き荒れる春にかけて急激に上昇する。

消防庁が発表した令和3年の住宅火災は10,936件。主な出火原因の上位5つは、放火を除いて「こんろ」16.1%、「たばこ」11.1%、「ストーブ」7.6%、「配線器具」6.0%、「電気機器」5.9%の順となっている。ここで注目すべきは、火元と考えられがちなキッチン周り以外にも、火災の発生原因が高い数値を出している点。

そこで今回は、ガスコンロや暖房器具等以外にも気を付けたい火災の発生原因や予防法について確かめたい。危機管理教育研究所を設立し、あらゆる防災対策に力を注いている危機管理アドバイザーの国崎信江さんに、押さえておきたいポイントを教えてもらった。

「消したつもりで消えていない」たばこは不注意が原因

以前より減少しているものの、たばこによる火災は非常に多い。これは寝たばこによる消し忘れやごみ箱からの発火が原因とされ、消したつもりで消えていなかったことが出火の要因となっている。

「たばこの火を消す際、急激な温度変化に弱いガラスの灰皿は望ましくありません。基本的にはどの製品の灰皿でも水を入れておくことが大切なのですが、ニコチンが溶け出すことで見た目や臭いが気になったり、ペットがニコチン入りの水をなめてしまうことを危惧される方もいます。そういう方には、火を消した後のたばこを蛇口の水で濡らすことをおすすめしています」(国崎さん)

「どの家でも起こり得る」留守中や睡眠時の電気火災

「配線器具」で起こる火災は、コンセントやたこ足配線の隙間にたまったホコリが漏電を引き起こすことで発火する「トラッキング現象」が要因。発火のタイミングは留守中や睡眠時などにも起こり得るため、普段からの予防が大切に。特に乾燥する冬は加湿器の使用によって部屋のホコリが湿気を帯びるため、漏電につながりやすいことも。加湿器を使う場合は、できる限りコンセントから離した場所に置くことを意識しよう。

「コンセントの周りは、コンセントカバーやトラッキング防止用のパーツをかませることで漏電を防ぐことができます。また、複数の電気機器を接続するたこ足配線は、消費電力の容量を意識することも大事。コンセントに負荷がかかると発火する原因となるため、1,500wを超えないようにしてください。心配な方は『ルモマコンセント』のタップシリーズを使用すると、高温になった場合に電気を遮断してくれるのでおすすめです」(国崎さん)

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また、ペットを飼っている人はコードをかじられると発火の原因に。電化製品を扱う場合も、配線が劣化して火災の原因になる可能性があるため、ドライヤーなどはプラグを抜く時にコードを引っ張らないように気を付けよう。同じ理由でコードを電化製品の本体に強く巻き付けたり、家具の裏側に配線を通したまま家具を押すと、コードの付け根部分に負荷がかかり、電源を通した時に火を噴くことがあるので要注意。

窓際に要注意!鏡やガラス玉は収れん火災の原因に

太陽光がレンズや鏡などに反射・屈折することで一点に集中し、可燃物を発火させることで生じる収れん火災。太陽光が原因となるため夏場に発生しやすいと考えられがちだが、実は太陽の位置が低くなり、部屋の奥まで光が差し込むようになる冬場でも比較的多く発生している。空気の乾燥によって小さな火種でも一気に燃え広がってしまう危険性があるため、十分に注意したいところだ。

「収れん火災を防ぐためには、直接太陽光が入らないようにレースのカーテンで日差しを遮ったり、窓の近くに鏡やガラス、水の入ったペットボトルなどを置かないことが大切です」(国崎さん)

いざという時のために持っておきたい、おすすめの消火グッズ

予防策もむなしく火災が発生した場合、速やかな行動が被害を最小限に食い止める第一歩。そこで、いざという時のための簡単で使いやすい消火グッズを紹介します。

●ファイテック投てき用簡易消火用具

「使い方は火元に向けて投げるだけです。初期消火の時に難しい操作なく使えるのでお子さんや高齢者の方など誰でも簡単に扱えます。また、場所を取らないのでどの部屋でも置くことができます。キッチン周りや電源プラグなど、火元となる場所に置いておくことをおすすめします」(国崎さん)

●消火シート

「キッチンで鍋から火が出た時などにおすすめ。天ぷら火災などは水などをかけると油が飛び散るためかえって危険です。火元に布を被せるだけで済むので焦っている時でも迷わず使えます。また、消火器は一度使用すると部屋中が泡だらけになってしまうので、局所的な出火の場合は消火シートの方が後で困りません」(国崎さん)

●消火器

「火が出たら迷わず消火器を使いましょう。抜群の威力を発揮します。最近ではおしゃれなデザインのものが増えていて、白や黒といったスタイリッシュな色合いのものやキティーちゃんの絵柄が入ったものなど、さまざまな商品が売られています。好みに合わせて選んでみては?」(国崎さん)

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初田製作所 デザイン消火器 CREATORS’ MODEL

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火災が増加する季節。防災対策を徹底することで、いざという時のために備えてみてはいかがでしょうか?

取材・文=永田正雄

プロフィール

国崎信江

株式会社危機管理教育研究所代表。危機管理アドバイザー。1997年から阪神淡路大震災のような自然災害から小さな子どもを守るための研究を始める。防災・防犯・事故防止対策を提唱。行政や企業、マンションなどのリスクマネジメントコンサルを行い、省庁の検討・審査委員や自治体の防災アドバイザーなども務めている。

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