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映画『レッドシューズ』で初主演の朝比奈彩「監督からの言葉が、真名美を演じていける自信につながりました」

『カノン』(2016年)にて、中国のアカデミー賞と呼ばれる金鶏百花映画祭の国際映画部門で、最優秀賞3冠を獲得した雑賀俊朗監督の最新作『レッドシューズ』が、2023年2月24日(金)より公開中だ。物語は、娘との暮らしを守るために、さまざまな苦悩を乗り越えながらボクシングの世界チャンピオンを目指して戦う崖っぷちシングルマザー・太田真名美の奇跡の挑戦を描いていく。主人公・真名美を演じるのは、モデルや女優として活躍する朝比奈彩。今作が映画初主演となった彼女に、撮影当時を振り返ってもらうとともに、見どころなどを聞いた。

©️映画レッドシューズ製作委員会

――『レッドシューズ』のお話が来たときは、率直にどんな感想でしたか?

「ただただびっくりしました。私はボクシングの経験もないですし、もちろん出産や子育ての経験もありません。『そんな私で本当に大丈夫ですか?』と、プロデューサーさんに聞いてしまったぐらい驚きしかなかったですね」

――撮影に当たって真名美にはどんなイメージを持っていましたか?

「彼女は不器用だけど真っすぐ突き進んでいく女性で、私はすごくすてきだと思います。でも台本を読み進めていくと、『人生ってこんなにもうまくいかないんだ』と思うことの連続で、とっても苦しいだろうなという印象でした」

――実際に役を演じてみて、大変だったところは?

「難しいと感じるところはたくさんありました。今回の撮影ではハッピーなシーンというのは少なくて、ほとんどが戦っているシーンです。真名美にとってボクシングは自分の軸になっているものなので、揺るがない意思のようなものをボクシングに委ねているところがあります。そこを酌み取るまでにすごく時間がかかった気がします。

この役を演じるに当たって、孤独に突き進んでいく力や周りの方々の支えによって変化していく“真名美像”というのをすごく大事にしました。その中で、何度も心が折れそうになる出来事が続きますが、それでも真っすぐ突き進もうとする気持ちをキープするのは大変でしたね」

――雑賀監督や共演者の方とはどんなコミュニケーションがありましたか?

「コロナ禍の影響もあって、今作の準備期間は1年間ほどありました。本読みをする回数も10回ぐらいあり、雑賀監督とも直接お話ししながら真名美像を細かく擦り合わせできました。エミ役の野田あかりちゃんとは、あや取りをしたり絵を描いたりして親子のように過ごす時間も事前につくっていただきました。なので、準備期間が長かったというのは個人的にはすごくありがたかったと思います。

また、市原隼人さんとはボクシングの練習を撮影の前からずっとご一緒させていただき、撮影の合間もミット打ちをしようと声をかけてくださいました。私から『ミットを持ってください』とはなかなか言えなかったのですが、市原さんが声かけてくださったことですごくやりやすかったです。ミット打ちはミットを持つ人が変わるだけで打ちやすさも変化するので、そこの時間をたくさんつくっていただけたのはすごくありがたかったです」

――撮影を通じて雑賀監督からお声がけされた中で、印象に残っている言葉はありますか?

「留置所で、『子供がいるから帰してくれ』と叫ぶシーンの撮影の際、雑賀監督から“大丈夫だと安心しました”と言っていただけたことがすごくうれしかったです。撮影のタイミングがかなり序盤だったこともあり、これから真名美としてちゃんと生きていけると自信にもつながりました」

――今作はオール北九州ロケでしたが、当地の印象や滞在中の過ごし方を教えてください。

「北九州には景色がすごくきれいな場所がたくさんあって、景色に癒やされながら撮影をしていました。若戸大橋で夕日が沈んでいく中、シャドーボクシングをするシーンは、個人的に1番好きなシーンです。撮影期間中に泊まらせていただいた『亀の井ホテル 玄界灘』の温泉は、片方は水平線が広がり夕日がきれいに沈む瞬間も見られ、もう片方には木々がたくさんあるロケーションでした。撮影後はその温泉に漬かって体を休めましたが、その時間が実は1番幸せでした(笑)」

――市原さん演じる谷川トレーナーから「今日が人生を変える日だ」と真名美が声をかけられるシーンがありますが、朝比奈さんにとって人生を変えた日はいつでしょうか?

「私は淡路島出身で高校卒業後は社会人として約2年間働いていましたが、それでもモデルになりたいという夢を諦めきれず、事務所も決まっていない状態で東京に飛び出しました。その日が自分にとって人生が変わった日だと思います。上京せずにそのまま淡路島でずっと過ごすこともできましたが、やっぱり自分が追いかけている夢をかなえたいと上京したタイミングは、自分の中ですごく大きなことだったと思います」

――そんな映画初主演作の見どころをあらためて教えてください。

「ボクシングというと男性のイメージが強いと思いますが、この作品からは真名美とエミの家族愛がすごく感じられます。娘の目線や祖母の目線、それこそ真名美の目線だったりと、見る人によって違う感じ方ができるので、女性にも楽しんでいただけると思います。人生がうまくいかないと感じることは誰にでも訪れますが、そんな時に真名美の不器用ながらも真っすぐ突き進んでいる姿を見ていただけたらうれしいです」

――最後にお部屋のこだわりを教えてください。

「観葉植物ですね。私は自然のパワーが好きなので、かなり置いている方だと思います。東京に住んでいると、どうしても自然に触れる機会は少なくなってしまいますが、今は自室やリビングに置いてある観葉植物を眺めたり、お水をあげながらリラックスして過ごせています。朝起きた時にお部屋に日の光が差し込むすがすがしさを感じられるのも観葉植物を置いてからなので、私には欠かせないアイテムですね」

取材・文=安藤康之 撮影=武石早代

インフォメーション

映画『レッドシューズ』
全国公開中

娘と2人で、つつましくも静かに暮らす真名美 (朝比奈彩)は、ある日家庭裁判所に呼びされた。女子ボクシングに打ち込む真名美らの経済状況が悪く貧窮状態にあり、娘は義母が育てるべきだという行政の判断に押され気味。そんな中、正義感の強い真名美は職場で理不尽な目に遭っている同僚をかばったことで失業してしまい窮地に陥る。だが、周知の支えにより新たに老人介護施設での仕事を得るが、そこである事故を起こしてしまい、娘と一緒にいられない状況に…。娘を取り戻すためには、ボクシングの試合に勝ってファイトマネーを得て、生活を立て直すしかない。最強のチャンピオンへの挑戦が今始まる――。

朝比奈彩

あさひなあや●’93年10月6日生まれ、兵庫県出身。’17年にドラマ「東京アリス」(Amazonプライム)で女優デビュー。その後、TBSドラマ「チア☆ダン」、「今際の国のアリス」(Netflix)、『ぐらんぶる』(2020年公開)、『そして、バトンは渡された』(2021年公開)など、数々の話題作に出演。現在、『Oggi』(小学館)の専属モデルとしても活躍中。

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<応募締め切り>

2023年3月27日(月)9時59分

<注意事項>

※応募者の中から厳正な抽選の上、賞品の発送をもって、発表に代えさせていただきます。
※賞品の発送は、応募締め切り日から1か月以降となります。


 
 

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