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テニス「全米オープンテニス」でN.Y.の熱気を味わおう!WOWOWプロデューサーが語る大会の楽しみ方

目次

会場はエンタメ王国らしいにぎわい、観客は好プレーに声援
スター選手の練習風景も配信、視聴者を“現地にいる感覚”に
“BIG3”の直接対決は…?次世代スターなど注目選手をチェック


今年最後のグランドスラム「全米オープンテニス」が、2022年8月29日(月)にアメリカ・ニューヨークで開幕する。

「全米オープンテニス」(以下、「全米」)といえば、錦織圭と大坂なおみが世界に名をとどろかせた舞台として知る人も多いはず。錦織は2014年に(当時)世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を破って決勝に進み、大坂は2018年に日本人選手初のグランドスラムシングルス優勝を達成。大坂は2020年にも再び栄冠を手にしている。

そんな日本選手と相性がいい「全米」開幕に向けて、中継を行うWOWOWの早川敬プロデューサーにインタビュー。何度も現地から熱戦を届けてきた早川氏に、会場の雰囲気や観戦の楽しみ方を聞いた。

会場はエンタメ王国らしいにぎわい、観客は好プレーに声援

見どころを語ってくれた早川敬プロデューサー

――「全米」の会場の雰囲気を教えてください。

「『全米』はやっぱりエンタメの国・アメリカで開催されるだけあって、会場全体に『とにかく大会を楽しもう』という雰囲気があります。センターコートのアーサー・アッシュ・スタジアムは世界で一番収容人数が多いコートで、お酒を片手にわいわいしながら観戦が楽しめるようなところです。伝統と格式の『ウィンブルドン』などとは違って、『全米』ではプレー中に上階の方で人が動いてたりするんですよね。選手にも目につきそうですが、その雰囲気すらも楽しんでいるのかなと思います」

約2万3000人を収容するアーサー・アッシュ・スタジアム

――やはりアメリカ選手の試合は特に熱気がありますか?

「個人的な感覚ですが、アメリカ人の観客は当然自国の選手を応援するけれど、基本的にはゲーム自体を楽しんでいる印象です。誰であってもいいプレーがあれば分け隔てなく拍手しますし、アップセットが起こった時の応援の仕方だったり、割とフラットに観戦している印象ですね」

スター選手の練習風景も配信、視聴者を“現地にいる感覚”に

早川プロデューサーと、WOWOWテニスのキャラクター「テニス太郎」

――今年でWOWOWのグランドスラム放送は30周年だそうですが、番組作りにはどんなことにこだわっていますか?

「現地の空気をいかに画面越しに持ってこられるかですね。そこに変な演出を入れないように気を付けています。そもそも世界最高峰のものなので、WOWOWが変に演出する必要がない。もちろん選手の技術やバックグラウンドなども紹介して、視聴者が感情移入できる形に持っていくのですが、あおり過ぎると試合自体の面白さを崩しかねません。あくまで目的は試合を楽しんでもらうこと。“ありのままをちゃんと見せる”という考えが、根っこにあります」

――その他、現地の空気を伝える取り組みとして、WOWOWではグランドスラムの試合前の練習風景や試合後の記者会見の無料配信、そして放送に収まらない試合も視聴できる「全コート・ライブ配信」も行っていますね。

「それらはまさに、視聴者に現地にいるような感覚になってもらおうというコンセプトです。練習コートの配信では選手がどんな準備をしているのか、試合後の記者会見ではどんな思いで試合をしていたのか、試合前後の選手の様子や変化までもが伝わるようにしています」

――練習風景の視聴には、どんな楽しみ方がありますか?

「見ているといろいろな発見がありますよ。僕自身、最初はほとんどルーティンワークなのかなと思っていたんですが、次の対戦者がサウスポーならサウスポーの練習相手を用意したり、サーブが速い人と戦う人は手前からサーブを打ってもらって速さに慣れたり、それぞれの工夫があって面白いです。それを見た後では、試合観戦がより楽しくなると思います」

会場があるフラッシング・メドウズ・コロナ・パークのシンボル

――中継作業はハプニングも多そうですが、どんなことが大変でしたか?

「今は屋根付きの会場も増えましたが、雨で予定が狂うと大変ですね。順延が続くと、大会側がすごい日程の組み方をしてきたりするんですよ。2019年の『全仏』の女子準決勝では、本来はセンターコートで1試合ずつ行うはずが、前日にいきなり別コートで2試合同時に行うことが決まったので、対応に苦労しました。スポーツはアンコントロールなものですが、テニスはその最たる例かと。“BIG3”の一人、ラファエル・ナダル選手(スペイン)が出場する一つ前の試合が想定外の長丁場となり、ナダル選手の試合が放送時間内で終わらないので急に後ろの番組を飛ばしたことも。ナダル選手の試合を途中でぶった切るなんてことは、テニスファンにとっては冒瀆(ぼうとく)以外の何ものでもないわけです(笑)。その時は僕が放送の中枢に当たる施設へ行き、リアルタイムで手動で番組を切り替えました。一つミスしたら大事故でしたけど、長年テニスを放送してきたWOWOWの使命をきちんと果たせたかなと思います」

“BIG3”の直接対決は…?次世代スターなど注目選手をチェック

――そんな数々の熱戦を見てこられた中で、特に印象に残っている試合を教えてください。

「たくさんありますが、近いところでは今年の『全仏』の男子準々決勝、“BIG3”のジョコビッチ×ナダル戦でしょうか。まず会場の雰囲気が他の対戦とは違って、一種異様な空気が漂うんですよね。あれはどう表していいか分からないですけど、厳かであり、ものすごい緊張感もあり、それが会場全体を包んでいました。“BIG3”は30代後半に入ってからも全盛期に近い強さで勝ち続けていますが、とはいえ、最近は新陳代謝が起こり始めていて、直接対決が見られる数は減ってきています。ロジャー・フェデラー選手(スイス)はけがで長期離脱中ですしね。『全仏』での直接対決は、もしかすると今後見られないかもしれない、そんな個人的な思いも相まって、すごいものを見ているかもしれないという感覚になりました」

――早川プロデューサーは“BIG3”という存在をどうご覧になっていますか。

「もはや人ではないなと(笑)。超越しているというか。勝負に対するこだわりとかがずば抜けているのだと思いますけど、誰も到達し得ないところにいるので、そのすごさは言葉じゃ表せません。どんなスポーツも、すごい試合は言葉があればあるほど陳腐になってしまうと思うんです。そのすごさはやはり試合を見て感じていただきたいです」

2018年からテニス中継を担当してきた早川プロデューサー

――これからの世代を担う注目の若手選手を教えてください。

「男子はカルロス・アルカラス選手(スペイン)です。元々注目株ではありましたが、この1年ぐらいで急激に伸びてきました。体格も試合中のメンタルも図抜けてきた印象があり、いつグランドスラムを取ってもおかしくないと思います。女子は今年の『ウィンブルドン』まで37連勝を記録していた、イガ・シフィオンテク選手(ポーランド)。女子は大会ごとに優勝者が変わるような戦国時代の状況が続いていますが、シフィオンテク選手の安定感は、次の絶対女王に一番近いように思います」

――最後に、日本選手の活躍もありテニスに関心を持つ人が増えていると思いますが、テニスビギナーはどんなところから入るといいでしょうか?

「やっぱりまずは、ネットなどを使って好きな選手を見つけるといいですよね。WOWOWのサイト『WOWOWテニスワールド』を見てもらえたら、プロフィルやランキングがまとまっていて分かりやすいと思います。そこからテニスのゲーム自体の面白さを知ってもらえたらうれしいですね。僕なんかは極端な話、誰が勝ってもいい試合が見たいんです。試合だったりプレーだったり、テニス自体がこんなに面白いんだよ、ということをちゃんと伝えていくのが僕らの役割かなと思っています」

取材・文=井上潤哉

インフォメーション

全米オープンテニス

放送日時:2022年8月29日(月)~2022年9月12(月)※連日生中継/第1日無料放送
チャンネル:WOWOWライブ

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