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【週末エンタメ】近年も話題作が多数!「ひつじのショーン」をはじめとするストップモーションアニメのアナログな魅力

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『ウォレスとグルミット』や『チキンラン』といったストップモーションアニメで知られるイギリスのアードマンスタジオ。数多くの名作を生み出してきた同スタジオの最新作『ひつじのショーン スペシャル クリスマスがやってきた!』が、2022年12月16日(金)より公開される。ここでは独特の味があるストップモーションアニメの魅力に迫っていきたい。

近年、話題作が目白押しのストップモーションアニメ

クレイアニメの代表格として知られる「ひつじのショーン」
(C) Aardman Animations Ltd 2021

粘土で作られた人形やパペットを、ひとコマひとコマ、少しずつ動かしながら撮影していくストップモーションアニメ。特撮パートで部分的に用いられるなど映画の黎明期から取り入れられていたが、CGの隆盛であまり使われなくなっていたこの技法が、再び盛り上がりを見せている。

例えば、ハリウッドではストップモーションアニメに特化したライカスタジオが2005年に設立され、アカデミー賞にノミネートされた『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』(2016年)や製作費1億ドル以上という『ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒』(2019年)などの良作を連発。

ウェス・アンダーソン監督も『ファンタスティック Mr.FOX』(2009年)、『犬ヶ島』(2018年)を作るなど、メジャーのフィールドの中でも注目作が次々と誕生し、高い評価を獲得している。

また日本でもアニメ2期まで放送され、社会現象的な人気を巻き起こしている「PUI PUI モルカー」や、堀貴秀監督が独りで7年を費やして完成させた『JUNK HEAD』(2021年)などの作品が大きな話題を集めており、ストップモーションの存在感がより高まっている印象だ。

アナログならではの独特な手作り感とクリエイターのこだわり

コマ撮りのため、静止できない液体の表現などあらゆるところに工夫が詰まっている
(C) Aardman Animations Ltd 2021

ひとコマずつ位置を調整したり、表情やポーズの異なるパペットをいくつも用意する必要があったりと、手間と時間が掛かり1日に撮影できるのは数秒程度というストップモーション。大部分がアナログの手作業で制作されるため、表現の制限も多い技法だ。

しかしデジタルで何でも描けてしまうCG全盛の時代だからこそ、カクカクとした味わいのある動きや生き生きとしたキャラクターの実在感、ハンドメイドの温もりに表現へのこだわりを感じることができ、それらがCGでは決して得ることができない魅力となっている。

ストップモーションの権威・アードマンスタジオの作品たち

テレビシリーズシーズン2から「だんろの前で」
(C) Aardman Animations Ltd 2010

そんなストップモーションアニメを、40年以上にわたって作り続けているトップランナーがアードマンスタジオだ。ピーター・ロードとデイヴィッド・スプロクストンにより設立されたこのスタジオは、アカデミー賞で4度の受賞を誇るなど、ユーモアに満ちたハイレベルな作品を常に世に送り出してきた。

代表作「ひつじのショーン」は、『ウォレスとグルミット、危機一髪』(1995年)に登場した羊のショーンを主人公とするテレビアニメシリーズ。イギリスの片田舎に位置するモッシーボトム牧場を舞台に、いたずら好きのショーンや仲間たちが巻き起こす騒動や日常が、動物の視点から描かれる。現在まで6シーズンも続く人気作で、今年ちょうどテレビ放送開始から15周年を迎えている。

テレビシリーズシーズン2から「メリークリスマス!」
(C) Aardman Animations Ltd 2010

過去には劇場版作品も作られており、第1弾『映画 ひつじのショーン ~バック・トゥ・ザ・ホーム〜』(2015年)では、ショーンが仕掛けたいたずらをきっかけに、大都会に迷い込んでしまった牧場主を探す羊たちの冒険が描かれた。

第2弾『映画 ひつじのショーン UFOフィーバー!』(2019年)では、ショーンたちが暮らす町に突如現れた宇宙人のルーラを、故郷の星へと帰してあげようとショーンたちが奮闘する、片田舎から宇宙まで巻き込んだまさかのSFに。これら2作は共にアカデミー賞の「長編アニメ映画賞」にもノミネートされた。

映画版ならではのスケール感!3年ぶりとなる「ひつじのショーン」最新作

テレビシリーズシーズン2から「ある雪の日」
(C) Aardman Animations Ltd 2010

そして『ひつじのショーン スペシャル クリスマスがやってきた!』では、3年ぶりの新作となる『ひつじのショーン クリスマスの冒険 劇場公開版』に加え、テレビシリーズからクリスマスを題材とした「だんろの前で」、「ある雪の日」、「メリークリスマス!」の3話が同時上映される。

クリスマスイブを迎えたモッシーボトム牧場で、クリスマスの準備をする羊たち。ショーンがより大きな靴下を手に入れるため牧場主の家に忍び込み大暴れしている中、子羊のティミーはサンタを追いかけて、クリスマスマーケットに迷い込んでしまう。ティミーを追いかけ町へ繰り出したショーンたちは、地元のセレブファミリーに拾われたティミーを助け出そうとするのだが…。

ティミーを救うべくショーンと仲間たちが奮闘する
(C) Aardman Animations Ltd 2021

ソリでの大ジャンプなど迫力のあるアクションシーンは劇場版ならでは
(C) Aardman Animations Ltd 2021

1話7分のテレビシリーズから拡大した劇場版ならではのスケールの大きな物語が描かれる本作。雪山をソリで飛んだり、牧羊犬のビッツァーがスキーで滑降したりと躍動感抜群のアクションはコマ撮りとは思えないほど迫力満点だ。またビッツァーが氷漬けになってしまう一幕では樹脂を用いて氷を表現するなど、創意工夫が感じられるような場面もオンパレード。これぞストップモーションアニメというべき1作となっている。

ビッツァーの氷漬けシーンなど工夫が感じられるシーンも満載だ
(C) Aardman Animations Ltd 2021

第50回国際エミー賞の「キッズ部門:アニメーション」を受賞しており、クオリティは間違いなし。クリエイターたちのこだわりと努力が感じられるストップモーションならでは映像は、子どもはもちろん、大人も十分に楽しめることだろう。

文=ケヴィン太郎

インフォメーション

『ひつじのショーン スペシャル クリスマスがやってきた!』

2022年12月16日(金)より全国ロードショー
作品詳細はこちら

 
 

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