
元自衛官のサバイバル芸人が伝授!災害時に使えるキャンプの知恵
令和8年熊本地震、令和8年8月千葉豪雨と、この夏も自然災害が相次ぎました。地震や台風など、世界でも特に自然災害が多いとされる日本では日ごろからの備えが欠かせません。
災害時に電気やガス、水道などのライフラインが使用できなくなったときは、身の回りのものを活用する知恵が役立ちます。そこで今回は、元自衛官で防災士の資格も持つ吉本興業所属のお笑い芸人、トッカグン・小野寺耕平さんに、キャンプ用品など身近なものを使った災害時のサバイバル術を教えていただきました。
元自衛官で防災士という肩書を持つ、トッカグン・小野寺さん。YouTubeチャンネル『トッカグンの東京サバイバル』では、自衛隊の訓練や、幼少期から続けているキャンプなどで培った独自のサバイバル術を公開しています。これまでの総再生回数は、なんと4億回以上! 芸人として活動するいっぽう、現在も予備自衛官として、毎年訓練に参加し続けているそうです。
「宮城県内の高校を卒業後に陸上自衛隊に入隊し、地元の仙台駐屯地に配属されました。2年の任期を終えたあと、芸人になるために上京。すでに芸人として活動していたころに東日本大震災が発生し、南三陸町にある実家が被災してしまったんです」とふり返る小野寺さん。
当時、実家には母親が住んでいましたが、避難場所としていた高台に逃げ無事だったそう。南三陸町は、歴史的にも津波による被害をたびたび受けてきた地域。そのため小野寺さんも幼少期から、いざというときにどこへ逃げるべきか、家族と確認し合っていたといいます。
「とはいえ、東京に来てからは防災の意識も薄れていました。東日本大震災後は意識を改め、自宅にも最低限の備えはしています」(小野寺さん)
今回は災害時に使える知恵として、小野寺さんの私物であるキャンプ道具のアレンジ術や、YouTubeでも話題のテクニックを厳選して紹介していただきました。
災害時はガスが使えなくなることも予想されます。東日本大震災では、復旧までにLPガスが約3週間、都市ガスでは約2カ月かかった地域もありました。
「じつはカップラーメンや袋麺は、水でももどせます。お湯が沸かせないときに覚えておくと便利です」と小野寺さん。今回は「ゆで時間90秒」タイプの袋麺で試してみました。
袋に粉末スープと調味料を入れ、常温の水をそのまま注ぐ。袋を器代わりにすれば、洗いものも発生せず、水の節約にも。
「うん、うまい!」。20分ほどで麺がもどり、食べられる固さに。あらゆる袋麺、カップ麺で実験してきた小野寺さんによると、ゆで時間が3分や5分のタイプでも時間を置くことでじゅうぶんおいしく食べられるそう。
電気が使えず、ろうそくもないときは自宅にあるものだけでキャンドルを作ってみましょう。耐熱グラス、アルミホイル、ティッシュ、サラダ油の4つだけで、3分で完成します。
使うものは耐熱グラスと少量のサラダ油、細く折ったティッシュとアルミホイルだけ!
アルミホイル、ティッシュを細長く折ります。手のひらの長さくらいが目安。
ティッシュをろうそくの芯にみたてます。芯が倒れないようにアルミホイルではさみ、グラスのふちにひっかけましょう。炎がガラスにあたらないよう、なるべく芯がグラスの真ん中にくるように。
サラダ油を注ぎます。
ティッシュの芯が油を吸ったことを確認し、火をつけます。
すぐに点火できました! 「ふっと吹くと簡単に消えます。ティッシュの燃えかすが煤(すす)となって舞うことがあるため、風の強い場所ではじゅうぶん注意してください。また、室内では換気にも気を配りましょう」(小野寺さん)
キャンプ用のポンチョは、広げればレジャーシートに、また寝袋代わりにもなるなど万能に活躍します。今回は、ひもを使ってボディバックにアレンジするテクニックを教えていただきました。災害時、歩いて移動するときには両手を自由にしておくことが重要。リュックが見当たらないときも、身の回りの荷物を入れて安全に持ち運ぶことができます。
小野寺さんの私物のアウトドアポンチョ。折りたためばティッシュ箱ほどのコンパクさに。
ポンチョを広げ、持ち運びたいものを横一列に並べます。
端から、荷物をくるむように包んでいきます。巻きずしやロールケーキのイメージで!
巻き終わったら、端からひもやビニールテープでしばっていきます。ガムテープでもOK。均等に4カ所結び、つながったソーセージのような形になりました。
さらに端と端を結び、ドーナツ状にします。
ボディバッグが完成! 両手があくので楽に持ち運べます。
深刻な脱水症状に… すぐできる経口補水液のレシピを覚えておこう
令和8年熊本地震では、深刻な水不足が続きました。脱水症状を防ぐには、夏はもちろん冬でも、水分補給にじゅうぶん気を配る必要があります。しかし、熱中症や脱水の症状があるときに水だけを摂取すると、血液の濃度が薄まり回復が遅れてしまうことも。
「すでに症状がある場合は、塩分と糖分を同時に摂取できる経口補水液が有効。ペットボトル一本で簡単に作れるレシピを覚えておくと便利です」(小野寺さん)。
500mlのペットボトル、砂糖、塩を用意。砂糖と塩を投入することを考えて、水は一口飲んでおきましょう。
経口補水液は水500mlに対し、砂糖大さじ2(約20g),塩小さじ1/4(1.5g)を加えると簡単に作ることができます。今回はペットボトルのキャップがおよそ大さじ2杯ぶんの大きさであることを利用し、砂糖をキャップすりきり1杯投入。塩は親指と人差し指の二本指のひとつまみでおよそ0.5gのため、3つまみ投入します。よく振れば経口補水液の出来上がり。
「災害時には、計量器で砂糖や塩をきちんと量ることはなかなか難しい。簡易的ではありますが、ペットボトルのキャップを利用できして経口補水液が作れることを覚えておけば緊急時に役立ちます」(小野寺さん)。
経口補水液は、すでに脱水の症状があるときに飲むものです。予防のために飲む場合は塩の量を1/3に減らしましょう。スポーツドリンクと同じように、日常的に飲むことができます。
YouTube『トッカグンの東京サバイバル』では、自衛隊の訓練で取得したテクニックも公開されています。たとえば、戦前の陸軍が実際に行っていた特殊な炊飯法「苞飯」をアレンジしたテクニックは、キャンプで使う飯盒(はんごう)でも再現可能。電気が使えないときもごはんがおいしく食べられます。
※画像はYouTubeチャンネル『トッカグンの東京サバイバル』より
調理用の耐熱ポリ袋に、米1カップと水1.2カップを入れます。このままでもごはんは炊けますが、今回は塩分補給も考慮し梅干し3個としそ、ごましおも投入。
飯盒に7~8分ほど水を入れ、キャンプ用のガスバーナー、または卓上コンロで湯をわかします。「この水は耐熱ポリ袋を温めるのに使うだけなので、ふろの残り湯などでも問題ありません。きれいな水はポリ袋の中で使うだけ。災害時に貴重な水を節約できるうえ、調理器具を汚さないので洗いものも不要です」(小野寺さん)
お湯が沸騰したら、米と水、梅干しなどを入れた調理用ポリ袋を投入。25分ほどゆでます。ほったらかしで大丈夫。
米が水をしっかり吸って、炊き上がりました!
梅、しその風味と、ごましおの塩気がごはんにしっかりしみこみ、まるで炊き込みごはんのよう! ゆでただけとは思えない仕上がりです。
災害への備えとして、「最低でもひとりあたり1日2Lの水を、1週間分は用意してほしい」と小野寺さん。レトルト食品や缶詰などの食料のほか、キャンプ用の携帯浄水器もあると安心だそう。ネットショップやホームセンターなどで、数千円で入手できます。
今回紹介したテクニックは、どれも特別な道具や知識がなくてもすぐに実践できるものばかり。いざというときに役立つ知恵を、楽しみながら身につけてくださいね。
教えてくれたのは
トッカグン・小野寺耕平
芸人として活動しながら、予備自衛官、防災士、バーベキューインストラクターなどの肩書を生かし、サバイバル術や防災知識を発信。高校卒業後、陸上自衛隊に入隊し、第2特科群第110特科大隊で砲兵として勤務。2年の任期を終えたあと、2006年に東京NSCに入学。コンビ『トッカグン』を結成したあと、2020年よりソロユニットに。YouTubeチャンネル『トッカグンの東京サバイバル』では、自衛隊での経験を生かしたサバイバル術や、防災の知恵などを紹介。2026年8月時点でチャンネル登録者数41万人、総再生回数4億回を超える。